5900修理の記録

修理・整備済と言う スカイセンサー ICF-5900(後期型)の修理報告です。
BCLラジオの修理は数え切れないくらいやりましたが、ここまで感度が悪い”完動品”は経験したことがありません。

今回調整をお願い致します、短波バンドに於ける5900の状態は
下記の通りです。

@各周周波数でマーカー発振とフィルムスケールのズレが大きい。
Aサブダイヤルの+ -側のエンドで感度の低下が若干感じられる。
Bシグナルメーターは動作していますが時々動かなくなる。
 (全域には振れない様です。)
C全体的に感度が低い
 具体的に言葉で表現するのが難しいのですが、RF-2200で十分に
 受信出来ている局でも、かなり弱く受信出来る程度です。

その他はAM、FM共に特に問題は感じておりません。
もし、其方で御確認頂き他に問題が有る様でしたらご指摘下さい。





整備済み(左)の物と並べてみると歴然とした差が有ります。
目盛りの狂いは激しいし、感度は100円ラジオ並です、「完全調整済み」とは何をもって言うのか大いに疑問です。


分解してみると サブダイアルのバリコンと
トランジスターQ9 Q27の2個が交換されています。
お世辞にも半田付けが上手とは言えないです。
部品に被せたビニールが溶けています。





メーターもひっかかっつています。



メーター引っかかり。
分解して修理。
よく壊れるトランジスターを更に2個交換して、MWの修理が終わりました。
次にSWの目盛り合わせをしようとすると、感度が猛烈に悪いです。
調べて行くと動作がどうも変です。
初段のトランジスターの入力までは高感度なのですが、アンテナ回路に行くと反応が鈍いです。

回路を追いかけて行くととんでもないことを発見。
下記写真の○印の部分が改造されています。
本来ここは接続されていない部分です。


この部分はロッドアンテナに行く配線です。
赤い数本のビニール線の束で普通は隠されて見えない部分です。
外部アンテナ端子とロッドアンテナは10PFのコンデンサーで結合されているのが正常です。

どうも感度が悪いので、直結したようです。
でもこれはセオリーを無視した改造です。

副作用が酷いです、やってはいけません。

半田付けの仕方から見て、別人の仕事のようです。
下記写真の右上の部分です。
ちょうどこの部分は配線の陰に隠れた部分です、今回整備した人が見落としたのかも知れません。
正直 自分も動作が正常ならここまで調べません。




どうも怪しいと言うことで調べてゆくと、バンド切替スイッチが怪しいらしいと推定しました。
中を調べるにはシールド板を外す必要があります。
でもシールド板は半田付けの上手さやその他の様子から修理した様子には思えなかったのですが、
ここまで疑わしいと やむを得ず外しました。
あけて吃驚玉手箱です。
芋半田があります、それにスイッチの端子が無い部分もあります。




芋半田は再度半田付けしなおしました。
端子が無い部分は 気持ちが悪いのですが、どうしようもないので無視することにしました。
副作用が無いか調べたのですが、見つかりませんでした。
前期型の場合この部分に端子があることは確認済みです、 これは後期型ですが、正常品の確認はできていません。


この部分を修理し、シールド板を組み込みました。
これで正常に受信できるようになりました。
この部分の断線で受信感度を抑える働きをしていたのです、これで正常に回復しました。


どうも今回の出品者は「ジャンクの難有り品」を買って、修理・整備して販売したと言っているようなので、
最初の持ち主が不具合を見つけられずに難有り品として販売、更にこれを整備した人も原因を見つけぬままに販売したらしい。

動作するようになったので、サブ・ダイアルの調整をしようとすると、調整不能です。
誤差が両端で5%もあります。
これはサブダイアルの読み取り誤差に直結しますので、1%以下に追い込まないと不具合です。
これでは正確に周波数が読めないのは当たり前です。
サブダイアルのバリコンを単純に交換したので 調整不可能になったようです。
この状態で完動品とはいささか無責任と思われます。


2008年7月17日

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