(ラジオ工房) トリオ 9R−59Dの修理

通電すると 音が出ません、メーターは振り切れています。
あわてて メーターにダイオードの保護回路を組み込みました。
調べてみるとゲインVRに不具合があり、接触不良になる部分があることが判りました。
さらに変なスイッチが組み込まれていて、スイッチでは無音になることも判りました。
ただ当初の無音の原因はこれではありません。


アンテナをつなぐとJOAKが受信できます、しかしなんとなく弱いのです。



ヘッドホンジャックの近くに変な基板が組み込まれています。
約1HのLと0.028μFのCが直列になっています。
依頼者に聞いてみると どうもCWフイルターを組み込んだと出品者は言っているようですが、
いやはや、必要なのですかね、困ったことです。
もし組み込むなら L金具でシャーシに固定すべきです。
2本のリード線だけで 保持するとは無責任すぎます。
(赤く囲った 部分のリード線のみで固定)
どうも ヘッドホンジャックの隣のスイッチは この基板を操作するためのものだったのです。



方向を変えて撮影。



取りはずしたCWフイルター と真空管。
Sメーターの振れがなんとなく怪しいので調べてみると、なんとRF増幅管に6AH6が組み込まれているでは有りませんか。
シールドケースを被せてあるので 判らなかったのですが これはTV用の高GM管でシャープカットオフの特性です。
このような利用方法は 全くの素人しかやりません。
この出品者は想像を絶するような修復がしてあることが有ります、困った事です。
高い増幅率を狙って使ったのかもしれませんが、AVCをかける増幅管に、AVC電圧でカットオフするような使い方は禁物です。



RF GAIN VR






マーカーのスイッチです、しかし組み込まれたマーカーは2MHzですから ほとんど使えません。
500KHzの水晶に変えるべきでしょう。
なお2MHzのマーカー付をオークションで販売している方は大阪と神奈川の出品者の方ですが、良い思い出は有りません。
購入する時は十分注意する方が良いでしょう。







修理着手時のシャーシ内部。



修理完了時のシャーシ内部。


メインダイアルとサブダイアルが油切れで 同時に動きます。
矢印の部分が特に酷いようです。
注油しましたが、完全にはなりませんでした。
メインダイアルを動かす時にサブダイアル(バンドスプレッド)が動かないように注意してください。
周波数の読み取りは バンドスプレッドダイアルが最も高い周波数を表示する位置(バリコンが抜けた位置)で固定し、
メインダイアルを校正してあります。
バンドスプレッドダイアルで周波数を直読する時は バンドスプレッドダイアルの指示位置に指針を合わせ(500KHzの倍数になっている)、
この何時でマーカーが受信できるようにメインダイアルを合わせます。
この時 メインダイアルの表示は当然ずれますが、目安の位置が小さくダイアル面に表示されてるのでなれれば簡単に判ります。



調整について

このラジオは全く調整されていませんでした。
組み立てたままと言う状態です。
最初はJOAKで9以下の振れでしたが、+35まで振れるようになりました。
JOAKを受信しているところ。

今回は 無事整備できてよかったですが、どうも整備状況からみて、下記出品者と同じかたから購入したものと想像されます。
(もし間違いでしたら ご指摘ください訂正します。しかし見分ける特徴があり この判断には自信あります)
9R−59Dの修理体験記62)
前回は修復できず、悔しい思いをしました。
9R−59Dを購入する時は十分注意する方が良いでしょう。




2013年3月6日

2020年10月10日






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