エマーソン Emerson Radio 38 の修理

1935年製と言われるEmerson Radio 38が修理にやって来ました。
6D6 6A7 6D6 75 43 25Z5のRF増幅つき6球スーパーです。

日本ではあまり使われていない真空管があるので 断線していては大変と まず真空管を調べてみました。
困ったことに25Z5が断線していることが判りました。
これは別途入手する必要があります。

TVー10で試験してみると 6A7のGMが足りません、しかしこれは新品の手持ちがあるので 良かったです。
他の真空管には問題ありませんでした。
下記画像はキャビネットからにシャーシ本体を抜き出したところです。
さすがに しっかり作られています 素晴らしいものです。


シャーシの内部です、さすが時代的にコンデンサーは大きいです。



いろいろ調べてゆくと ドロップ用の135Ωの抵抗がありません、電源コードの抵抗内蔵方式ということが判りましたが、
その抵抗がコード内部で断線しているのです。
とてもこんな便利な電源コードは入手出来ませんので 対策が必要です。
見たこともない部品が使われているので 結構大変です。

回路図 をネットで探しました。



 

特殊電源コードの代用 ヒーター降下用抵抗を埋め込んだ電源コードはアメリカではポピュラーだったようですが、日本では馴染みがありません。
代用品を作ることにします。 発熱しますので 狭いところでは組み込めません、ケミコンが組み込まれていますが 
どうせ使えませんので この部分に組み込むことにしました。






電源平滑用ケミコンを取り除き その跡にセメント抵抗を組み込むことにしました。
昔は簡単に入手出来たのですが 秋葉原で探して やっと見つけてきました。
降下すべき電圧は 25V 0.3Aですから 電力容量としては7.5Wが必要です。
しかし 安全を見ておく必要があり、
16W 156Ωの抵抗がありましたので 2本購入してきました。
これをパラに接続すると 78Ω 32Wの抵抗が出来上がります。

オリジナル回路では135Ωが使われていますが 日本では100Vですから、
この抵抗値で丁度良い値です。

これでも抵抗は熱を持ちますから 使用時には十分注意してください。


実は最初 このように組み込んだのですが 
どうも安定性が悪いので 上記方式に変更しました。
ラジオを上から見たところ。

修理後のシャーシ内部 ここまで落ち着くには 数回の大きな手直しが有りました、想像以上に手間がかかりました。 製造後80年を経過した部品がどこまで使えるか慎重に判断しました。
回路や部品は オリジナルにちかいですが コンデンサーの容量などは安定する側に決めました。
平滑回路のコンデンサーは随分大ききです。


中波と短波の切替はシャーシの裏側のスイッチで行います。
パイロット ランプも同時に切り替えられ 中波の時は上側のランプが点灯します。
ただこのスイッチは固着していて 全く回転しません。
無理に回すと壊れるので 短波は諦めました。

IFは456KHzということで SSG を使って合わせました。
C同調なので調整は非常に微妙ですが 反応は素晴らしいです、劣化していないようです。

ただ 目盛合わせで 経年変化か 微妙に合わせづらいところがありました。
パディングコンデンサーで低い方を トリマで高い方を合わせます。
トラッキング調整は アンテナ側のトリマも無いので 調整はできませんでした。

調整後 不思議な現象に悩まされました。
それは6D6 や6A7のトップグリッドが受信中 微小ですが+バイアスになるのです。
常識的にはありえないので いろいろなことをして確認しました。
最後は 75の2極管部の波形をオシロで観測までしました、普通は数Vの信号があるはずなのに 数十mVくらいしかありません。
これでは3極管部のカソード電圧の影響を打ち消せません。
微小な+電圧はカソードバイアスの電圧が ほぼそのままグリッドバイアスとなっていたのです。

原因は回路です。
このラジオは 音量調整を高周波部分で行っているのです。
高周波の感度を調整して 音量を変えているので、普通のスーパーのように高周波部分はフル稼働ではありません。
そのため IFの出力は音量が低いと 同期して低いのです。

異常では無いことが判明したので これで良しとしました。



なお アメリカ製のラジオにはヒューズがありません、また大部分の部品は製造後80年を経過しています。
通電する時は そばにいるなど 火災予防に十分ご注意ください。
安全性には十分配慮してありますが、 安全性の保証は出来ません。

2015年8月10日
2015年8月11日







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中津

真空管ラジオ




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