中国製ラジオGRSー6の修理

若松通商で購入したそうです。
組み立てたが受信できないということで お預かりしました。

受信してみると 全く受信しません。
発振気味で マジックアイが閉じきっています。
ダイアルを回しても どの位置でも閉じきるということは正常に動作していないということです。
ただかすかに放送らしい音が受信できる場所があります。

このラジオについては 「こだわりの真空管ラジオ」にも記載しましたが 説明書どおりに組み立ててもなかなか正常に動作しないのです。





早速シャーシ裏を見てみました。
配線は綺麗にされています、説明書どおりに組み立てられているようです。



シャーシ上面の出力トランスの配線は端子がむき出しで危険なのですが、熱収縮チューブで綺麗に処理されています。
これは素晴らしいです。



ところがシャーシ内部の真空管ソケットの配線にも 一部には収縮チューブが被せてあるのです。
これは蛇足で 最悪の方法です。
このようなされると真空管のピンの電圧が測定できません。
端子処理は よく考えて しましょう。



背面の様子

出力管とケミコンが近すぎるので 危険です。
ケミコンと出力管を少しでも離したほうが無難です。
ケミコンの取り付け位置をトランス側に少し移動させるのです。






まず発振を止める必要があります。

この機種は何故かIF増幅管のカソードがノーバイアスになっているのです。
ここに300Ωと0.1μFでバイアスを掛けることにしました。
G3はノーバイアスでも良いのでカソードのみ300Ωと0.1μFを接続したのですが、バイアスがかかりません。
調べてみると なんと管内でG3とKが接続されているのです。
改めてG3とKにバイアスをかけて解決です。
画像のAの部分。

更に 驚いたことに この真空管は管内の底に有るシールド板も省略されているのです。
中国はなんでもありとはいえ 真空管のシールドまで省力するとは。

次にG2の電圧です。
測定してみると意外と高いのです、それに6BE6のG2 G4とか独立に給電されています。
この種スーパーの場合 共通に給電したほうが AVC 電圧の影響を打ち消して安定なのです。
この部分は12KΩ 3Wの抵抗を入れて共通に給電するように変更しました。
画像のBの部分。
これで安定に増幅するようになりました。

怪しげな中国製6BA6



管内のシールド板とは下記のようなものです。







このシールド板の働きはソケットの中央ピン(アースされている)と組み合わせて 端子間の結合容量を減少させる働きをします。
このシールドが無いと 発振しやすいのです。

シャーシ内部の変更箇所





次に 低周波回路に高周波成分が混入しているのです。
オリジナル回路図を見ると判りますが 高周波バイパスのコンデンサー省略されているのです。
普通は 低周波増幅管のプレート と出力管のプレートにバイパス用のコンデンサーがあります。
この機種は音質調整機構が付いているので不要と思ったのかも知れませんが このコンデンサーは音質調整だけでなく高周波バイパスに必要なのです。
この低周波部分に高周波が乗っかってると発振など不思議な現象を起こします。
バイパスコンデンサーを入れることで安定した音声が楽しめます。

今回は試行錯誤の末 出力トランスの1次側に0.005μFを 出力管のグリッドに200PFを入れました

ただ 出力トランスからの負帰還抵抗があると発振するので この部分ははずしました。


さらに安定的に受信するため 6BE6にもAVCをかけることにしました。
画像のEとFの部分です。
これで電波の強いところでも正常に受信できます。
この部分はE Fです、コイルの巻き線が接地されているのでこのようにしないとAVCがかけられません。。


電源トランスには 安全規格のコンデンサーを付加しました。




調整

この機種で一番嫌らしいのは調整です。
無調整だとIFTは475KHz付近にあわされているようです。
これを何とか455KHzにあわせました、ぎりぎりという感じです。
コイルのネジがお粗末なのか ねじ山が壊れるのではないかと思うほど酷いものです。

トラッキング調整ですが コイルの調整範囲が狭く 理想的には出来ませんでした。
最低受信周波数を535KHZにして 調整範囲の狭さを解決しました。
本来ならコイルを巻き足すべきでしょう。




我が家での受信状況です

短いアンテナを接続したところです。

NHK(JOAK 594KHz)を受信しているところ



TBS(954KHz)を受信しているところ



JORF(1422KHz)を受信しているところ




まとめ

添付回路図に対し 間違いはありませんでした。
ただこのキットは素人が雑誌の記事を参考に良いとこ取りで設計したと思われます。
販売している人も組み立てたら動作しないことはある程度理解しているはずなのに いつまでも改良せずに販売するとは困ったものです。
このキットは改造しないと正常に動作しないのです。
それにいい加減な中国製真空管まで組み合わされているので 相当経験あるベテランでも梃子摺るでしょう。


下記書籍を読んで組み立てることをお勧めします。






http://radiokobo.sakura.ne.jp/G/window/kodawarinoradio.htm
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参考回路図 

これは以前修理したものの回路図です、今回修理した方法とは少し異なります。



別の記事

GRS−6の組み立て



中国製真空管ラジオキットの調整

中国製真空管ラジオキット(bezs-6-1)修理に挑戦へ

改良案(初心者向け)






2016年8月3日







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真空管ラジオ



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