ソニー TR−826の修理

雑音しか聞こえない状態です。
がりがり雑音をさらに不規則にした感じの音が小さく出ます。



分解した処です。
ここまでは簡単ですが・・。





この機種に関しては回路図もありません。
昭和39年ころに作られたもののようですが、この当時回路図は公開されていないのかも。
基板のパターン面から順次回路図を作成してゆきました。
部品が密集しているので、上下の照合が大変です。
低周波部分に不具合があることが判ったので、順次調べてゆくと 初段のTRが不良らしいというところまでは判明しました。


ダイアル面の下側が 不具合らしい場所です。
うかつにダイアル糸を外すと元に戻すのは困難ですので、慎重にダイアルパネルやダイアル糸を外します。

白丸の部分が該当部分です、非常に嫌らしい場所です。




部品面から見た不具合個所です。
白い矢印の部分が不具合が有りそうです。
外してみると TRの不良でした。
実は汚れが酷くて肉眼では文字が読めません。
ソニーのこの当時のラジオの低周波部分は2SD65か64が使われているので、
同じだろうと思っていたのですが、拡大してみると2SD66と書いてあります。
当時 歩留まりが悪く 増幅率の低いTRが出来た時のための型番ではと思える品でした。
後段の石の名前も読めません。
しかしこれまで2SD66など回路図で見た記憶は有りません。







部品を捜す。
ゲルマトランジスターの手持ちは有るのですが、2SAか2SBタイプで 2SDタイプは殆どありません。
最後の手段で 製造時期がほぼ同じソニーの製品から抜き取ることを考えました。
2SD65や64が使われているのはソニーのTFM−110かマイクロTVの5−303です。
TFM−110Fは沢山あるのですが、TFM−110は見つかりませんので、マイクロTVを壊すことにしました。

半田黄体は不良になりやすいので、ほとんどの場合(99%)は新品を使います。
しかし如何しても入手できない場合の対策です。




組み込み失敗

2SD66が使われていることが判ったので、秋葉原で探してみましたが、残念ながら見つかりません。
やむなく 上記のソニーの5インチTVに使われている2SD64を抜き出して移植してみました。
結論的にはゲインが高すぎて動作が安定しません。

2SD66:増幅率が25
2SD65::増幅率が50
2SD64:増幅率が100
これらは特性は同じだが 増幅率で分類されていて 2SD64は増幅率が高すぎるようでした。
この機種は低周波部分が4石で構成されていて 普通の3石より多いので 特に増幅率の低いTRが使われているようだ。
その為 ベースとコレクターをケミコンで接続しても十分大きな音で動作します。
下記画像参照。



しかし これでは中途半端なのでTRを組み込むことにしました。
キャンタイプのNPNのシリコンTRを組み込んでました。
ベース抵抗は変更せず そのままですが、丁度良い程度に増幅するので 最終的にはこれで行くことにしました。

老眼が進んできたので この修理には苦労しました。
余裕のない狭い場所でのトランジスター挿入は大変でしたし、最も困難だったのはダイアルの糸かけの復元でした。
残念ですが、ここまで小さいと 年寄りには無理ですね。



IFTの調整をし、目盛りを合わせ トラッキング調整をして終了です。


動作例


2013年3月18日
2013年3月19日






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