ナショナル BXー715 真空管ラジオの修理

前面の布は昔 張り替えたそうです、なかなか見事です。

真空管は6WC5 6D6 6ZDH3A 6ZP1 12FKです。
TVー10で測定してみると 破棄値以下のものが3本ありますが 今までの経験上 使える範囲です。
銘柄から考えて オリジナル時組み込まれた真空管がそのまま残っている感じです。




シャーシ 内部の様子。
ブロック型ケミコンは漏洩試験をしましたが 大丈夫のようでした。
ペーパーコンデンサーにはリークが見られます。
ケミコンは後日交換するとして 試験時はそのままとしました。





上記 丸印の拡大画像は下記です、見やすいようにアース側を外してあります。


実は このMP コンデンサーの接続は正しくないのです。
これでも正常に動作しますが この種のコンデンサーの場合 
外装部分はアース側に接続するのが常識なのです。

ペーパーコンデンサーも同じですが アルミ箔を巻いて作るコンデンサーの場合
外側の箔の電極をアース側にするのです。
このようにすると雑音の影響を少なくすることができるからです。
ケミコンの極性ほど 厳密ではありませんが 覚えておくと良いでしょう。




出力トランスは 半断線していました。
ガリガリ音がするということで 大丈夫と思ったのですが 駄目でした。

構造は 非常にシンプルな作りです。
なお下記画像のPLランプはいけません、明るすぎると思ったら6V 6Wの自転車用と思われるものが入れてあります。
単純計算で1A流れますから トランスが 過負荷になります、素人が交換したらしいが困ったものです。
どうも上記のコンデンサーと言い 素人修理の形跡があちこちにあります。





ペーパーコンデンサーを交換し 仮通電で一応動作するだろうと思って 試験しました。



まず試験用のスピーカーを接続し 通電すると 猛烈なガリガリ音です。
しかし1分ほどで 比較的静かになりました。

ところが全く受信しないのです。
6WC5の発振グリッドをテスターで触ると−電圧を表示するので 発振はしている。
アンテナリードを接続してもクリック音がしない。

真空管を揺する など手をつくして アンテナリードに アンテナを接続すると TBSがかろうじて受信できます。
でも感度は悪いし 相当 変な感じです。
特にVR周りを軽く叩くと 雑音が出るのです、VRもダメなようです。
VRを交換するにしても特殊なスイッチなので 非常に悩ましいです。
VRを仮づけして試験することにしました。

 

受信不良対策

アンテナからSSGで信号を入れたのですが うまく行きません。
アンテナ端子にアンテナを接続してもクリック音も出ません。
まずアンテナコイルの断線を疑いました。
テスターで測定しても導通あり、次はLCテスターで測定してみました。
1次コイル 2次コイルともにインダクタンスは大丈夫、この時当然バリコンへの配線は外してありますので、
バリコンの容量も測定 これも正常です。
ということはアンテナコイルまでは正常ということです。
次に 念のため 6WC5を交換してみましたが これでも変化なし。

ここで、IF不良とは思ったのですが 局発の信号周波数を調べて見ることにしました。
TBSを受信し 隣にICF−2001Dを置いて モニターします。
周波数を見ると1418KHZです、954KHzですからIFは逆算して464KHzになります、大きくは狂っていないはずです。
ところがSSGからこの信号を入れても受信できません。

やむを得ず IFTを分解することにしました。

IFTの不良

猛烈に感度が悪いです、スーパーは1000台以上修理しましたが これほど酷いものは初めてです。
まず455KHzの信号をSSGか アンテナ端子に入れても反応しません(120dB)。
ただ外部アンテナをつなぐとかろうじてTBSが受信できます。
ただ不思議な事に 6D6のグリッドキャップに外部アンテナを接続すると放送(TBS?)が受信できるのです。
抵抗の断線など部品の不良は確認したのですが 問題ありません。
原因はIFTしか考えられません。
ただナショナルのIFTは嫌らしいのです、 固定方法がネジではないので 
一度取り外そうとすると 薄い金属の取り付け部分を壊すのです。
しかし他に方法はありませんので 取り外しました、最初の1台はうまくいったのですが、
検波段は失敗でした。
下記画像参照ください、左側の取っ手がちぎれています。




初段IFT

コンデンサーは チタコンです、まずコイルを疑ったのですが 大丈夫でした。
コンデンサーの容量を測定してみると 150PFと128PFです。



まずコイルだけにして ケースに入れ インダクタンスを測定します。
150PFで455KHzに同調するインダクタンスにコアを動かして調整します。
調整範囲に入ったことを確認してコンデンサーを半田付けします。

コイルのインダクタンスはケースに入れた時と 外部では値が異なりますので このような注意が必要です。
勿論コンデンサーは温度補償タイプを使ってください。

検波段IFT

検波段のIFTです、コンデンサーは測定してみると驚くなかれ 2つとも参拾数PF程度に落ちていました。
オリジナルは150PFですから 逆算するとTBS(954KHz)近辺に同調していたと想像されます。
道理で6D6のグリッドキャップに外部アンテナを接続すると 放送がなんとなく聞こえたわけです。


ケースから抜き出したところです。
なおインダクタンスはケースに入れると 少し減少しますので、
この状態で測定しても 目安にしかなりません。


コンデンサーを交換したところ


左端が今回準備したコンデンサーです、頭が黒いのが温度補償コンデンサー(温度係数0)。
右側3個は 容量が低下していました。
33.5PF  39.4PF  128.7PFに変化、1個のみ正常。 





実はここまで低下しているとは思わず1個目の時 コンデンサーは1個のみ交換しました。
普通はこれで大丈夫なのでですが、2個めのほうが物凄い減少でした。
これなら最初のIFTも2個ともコンデンサーを交換すべきでしたが、もう取り付けたあとなので そのままとしました。

ブロックケミコン

漏洩試験で大丈夫なので そのままでも良いのですが、念のため 初段(12FK側)のケミコンを新品に交換することにしました。
この方が 高い電圧の部分とリップルも大きいので 安全度が高くなるからです。
取外した 初段側のケミコンは2段目と接続し、容量を増加させました。

なお出力管のカソードバイアス用ケミコンも新品に交換しました。
これで最初 雑音が出た原因がケミコンでも対処出来ると思います。
取り付け位置は アンテナコイルの下 ハトメの穴を利用して端子を組み込みました。
下記画像 矢印の部分。
ただ残念ながら.3mmφのネジは 使えませんでした、2.6mmφのものが使えます。







VRについて

VRの不良はどうしようもないので、新品に交換することにしました。
スイッチ付きではありますが ON OFFしかできないタイプなので PUに切り替えてもラジオが混線する可能性があります。
その時は アンテナを短くする 同調をずらすなどしてください。
本来なら切り替えスイッチ付きにしたかったのですが、IFTの不具合もあり、予算的に厳しいのでこれで我慢してください。

なお このラジオのようにギザギザ付きの軸にはめる方式のツマミがついたラジオの修理は意外と嫌らしいです。
最近はエポキシ接着剤があるので 便利ではありますが 軸を繋ぐ部分の長さに制約があり、簡単ではないのです。
今回もVRの取り付けを少し後退させ 接続用アルミパイプの長さを確保しました。






オリジナルのVR ツマミに合わせるために軸の先端は切り離して利用した。

出力トランスの交換

残念ながら断線しているので 秋葉原の東栄トランスで購入してきました。
オリジナルのものに比べ寸法が小さいので 取り付けにはスペーサーが必要です。





BXー710とBXー715について

当時 松下は定価販売と月賦販売を別ルートでやっていたらしい。
ほぼおなじデザインで少し違うものを価格を変えて販売していた。
当然月賦の場合 利子がつくので割高になる。
値段が11,500円と12,500円の違いがある訳だ。



電波科学1953年12月号

BXー710の回路図 

基本的にはほぼ同じと思われる



BXー710の修理体験記


2016年2月18日
2016年2月20日:193
2016年2月22日:386
2016年2月23日:422








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中津

真空管ラジオ




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