ナショナル PLー403の修理

シャーシを引き出して 正面を向けたところです。
出力トランスは断線していました。



シャーシの内部

ケミコンは 駄目になっていました、当時のケミコンは凄く大きいです。



ナショナル PLー403回路図

ケースの回路図が貼付されていました、なかなか親切です。
電波科学の情報では出力管は1S4になていたので 心配したのですが、3S4で 安心しました。
と言うのは1S4だとヒラメント用のトランスが必要なので いやらしいと思っていたのです。



修理後のシャーシ内部

200V 47 47 22μFのケミコンを3個組み合わせて 元の位置に実装しました。
また3S4のヒラメントに入れてある25V 200μFのケミコンの代わりに 10V 1000μFのケミコンを組み込みました。
このケミコンが無いと ハムが大きく出ます。
なお この種受信機は 動作中に真空管を抜いてはいけません、通電を止めてから抜いてください。
通電中に真空管を抜くと この10Vのケミコンに100V近く充電され 次に真空管を挿すと 一瞬で断線します。



ペーパーコンデンサーは全数交換しました。
画像参照ください。



交換した部品

ナショナルのラジオでお約束のボロボロ配線もAC回路に使われていて 危険なので交換しました。



修理後の背面側の画像



調整

このラジオは調整が非常にいやらしかったです。
ナショナルのIFT特有というかコイルのボビンがコアのネジと固着して 回せないのです。
いろいろ試行錯誤しましたが 無理に回すと壊すので 諦めました。
更にトラッキング調整をしようとしたのですが コイルとコアが固着してこれまた動かせないのです。
しかしこれでは 感度が悪いので 局発(上記画像の左端にネジが見える)のコアを動かして、
最高感度になるよう 局発をずらせて ピークを確認しました。
ここを低い方の起点に 高い方を合わせて(これはトリマなので容易に調整可)終わりにしました。
最終的には なかなか良い感度に仕上がりました。

出力トランス

出力トランスは断線していたので 東栄で購入して来ました。
スピーカーのボイスコイルは3Ωなので トランスの4Ω端子に接続 
これで 1次側のインピーダンスは表示の12KΩより 実際は低くなりますので 3S4の負荷には丁度良いでしょう。



キャビネットに組み込んだところ。



2台目の修理

ポータブルラジオの修理として送られてきたのがこの機種でした。
非常に珍しいことです、この機種は今まで見たこともなかった機種が続いてやってくるとは驚きです。
ただツマミがありません、古い機種でツマミが無いことは致命的欠陥です。
特に今回のようにギザギザ軸で軸が殆ど出ていない物は 代わりを見つけるのが至難なのです。

依頼人は気軽に頼まれますが、悪くすると 修理できずに泣きを見ます、ご注意ください。



内部構造です。
オリジナル状態で 殆ど手を加えられていないようです。
ただ電源ケーブルは交換されていそうです。



キャビネットから取り出したところ

このラジオは 通電を示すランプはありません。
前面の円板がスイッチのON OFFをしまします。
キャビネットの前面の窓部分からこの色を確認する仕掛けです。

今回は なんとか表示灯をつけようと計画しました。
最終的に 前面の表示用円板(金属製)を取り外し、その部分にLEDを組み込むことにしました。
組み込みは下記画像のごとく 片側はシャーシへ、片側は4KΩの抵抗経由 3S4のヒーター7番ピンへ 接続。
この部分は約7Vありますので 電流は1mA以下です。
フィラメント電流は50mAなので 悪影響はありません。
ただし電流が少ないので 高輝度タイプが必要です。
それとこの部分は脈流が流れているのでダイオードに0.68μFのセラミックを抱かせています。

実はコンデンサーは不要と思い ダイオードのみで実験してLEDを駄目にしました、ご注意ください。
(空色の部品がセラミックコンデンサー、黒いチューブ部分に抵抗を組み込む)

なおこのラジオもバーアンテナのコイルが固着していて動かせず、目盛を合わせてトラッキング調整が難しかった。
バリコンの回転角度の0点を基準として目盛を合わせることができなかった。

そのため 594KHzが最もよく受信できる位置を基準に メモリを合わせ 高い方の1422KHzはトリマで合わせて
トラッキング調整をした。
結果的に 目盛と実際の周波数に多少の誤差がある。



コンデンサー類はすべて交換しました。
ケミコンはラグ端子を組み込み 200V47μF 47μF 22μF、それに10V 1000μFを使いました。
10V 1000μFは3S4の1番ピンに接続。

今回3S4が断線していました。
電源ケーブルが付いていたので通電したようです。
この種 古い電池管ラジオはいきなり通電すると 壊します。




電源 ON状態

ランプ点灯
電流は少ないが 表示は明確に判明します。





電源断状態

ランプが滅灯

   




今回の交換部品



2016年1月26日
2016年6月30日:322 2台めを追加
2016年7月2日:338

真空管



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なお個別には@700円  1S4(3S4の1.4V管 @500円)もあります、1T4以外は在庫が沢山あります、ただし 現在真空管の3S4が行方不明です。









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真空管ラジオ




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