national UE−355Sの修理







輸出用なのか電圧記載が無い。
回路図は肝心なところが判断できない。





このラジオの不思議なところは、フローティングアースなのに
@平滑ケミコンのマイナス側がシャーシに
Aシャーシと電源アース間の抵抗値が無限大のはずなのに300Ω程度ある。
これはずいぶん原因を探したが判らず、結局シャーシアースに変更した。
どこかでリークしているらしいが見つけられなかった。

ただ電源がこんな調子だとハムがさぞ多かったと思われるところと、何故MWのOSCが破損しているのかが理解不能。
もしかして アンテナ線も数cmで切断してあるので、途中で投げ出した??。






動作試験中

高周波部分が3バンドになっていて コイルも破損しているものがあり、通電試験して見ることにしました。

12BE6 12BA6 12AV6 35C5とシリコン整流の組み合わせです。
ヒーター回路はこれでは100Vになりませんので35C5(GMが劣化)のヒーターのみ利用で100Vにします。
整流は200オームの抵抗を通してシリコンで整流し、250V 120μFのケミコンに接続されています。
電圧は120Vくらいあるので動作には充分です。

これで通電してみて、MWの動作を確認しました。
ただ正常に受信できるのですが、ダイアルの糸は普通の糸で何時切れるか不明だし、バネも無くなっています。
当然PLランプも点灯しません。



最終的どう修理するかですが、PLも欲しいし、ダイアル糸のかけ替えと、
12BE6 12BA6 12AV6 35C5 35W4の構成に戻すことにします。
また12AV6もGMが150くらいしかありません、これでも音は出ますが何時壊れるかわかりませんので、
これも新しいものに交換することにします。




MWの調整をしていて、受信の高いほうが全く合わないことに気がつきました。
もともとMWのOSCの端子部分が何故か壊されていて、配線がぶらぶらしてはいたのですが。

でも何故この部分だけ壊されているのか理由が理解できません。


MWのOSCの画像
端子部分が皆 破損されています。
巻き線はかろうじて接続されているようです。

周波数の高いほうを決めるトリマの配線が外れていることに気がつきました。
接続するとともに端子周りをエポキシ接着剤で固定してしまいました。
後日の修理を考えると良い方法ではありませんが止むを得ません。



修理後のシャーシ内部

整流は35W4に戻しました。
PLの配線もつけましたが、ケミコンの容量が120μFと大きいので、投入時の過電流で整流管のカソードを傷める心配があり、
200V 47μFのケミコンを使い、次に200Ω(シリコン整流でで使われていた)で平滑回路を追加しました。
ここか出力トランスへ配線、結果的に1段平滑回路を追加したことになります。
さらにB電圧の低下を抑えるためにオリジナルの回路で使われていた1KΩの平滑抵抗を470Ωに変更しました。



SW1 SW2とも正常に受信できるようになったが、PU入力は不可だった。
中央部を横切るシールド線が途中で切断されているのが原因と思われるが、ここで打ち切った。

MW SW1 SW2それぞれの調整箇所は画像に図示したので参考にしてください。
調整すると快適に受信できます。

ただナショナルのIFTは造りがちゃちで、うかつにネジを回すとコイルまで回転して、悲惨なことになるので注意すること。
ボビンが回転しないよう、固定してからネジを回すこと(特に上側のネジが危険)。






アンテナ線もありませんので追加して追いました。


ダイアル指針

ダイアルの指針は非常にユニークな構造になっています。
このような構造ははじめてみました。
ダイアルの糸かけを外してもシャーシは引き出せないのです。
指針を裏側に引き抜くとシャーシが取り出せる仕掛けです。
それは良いのですが、どうも指針をなくしたらしく手作りの指針がついていました。




手作りの指針

はめ込み部分が単なる針金なので固定できません。



やむなく 差し込んだ後、ホットボンドで固定しました。
次回修理するときは嫌らしいと思いますが、他に方法がありません。
接着部分を壊せば簡単に取り出せます。




修理が終わって

このラジオは素人が壊してあり、それも複数個所が壊してあるので、大変でした。
同じ規模のラジオの数倍の手間がかかりました。



2017年3月23日:
2017年3月25日:003
2017年3月26日:138







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