ナショナル PS−51の修理

1951年に作られたナショナルのラジオです。
受信できるのだが、ダイアルの糸が切れたということでお預かりしました。
背面の画像はこのようになっています。
非常に珍しいラジオと思います、自分もこれまで見たことがありません。




固定するネジが4本使われています、1本は紛失でありませんでした。
ただシャーシの前面で固定する方式で 外すのは簡単ですが ネジを所定の位置に入れるのに非常に苦労しました。
これが+ネジだともう少し簡単なのですが、アメリカのラジオを真似してもネジまでは当時真似できなかったのでしょう。



シャーシ内部の状況です。




動作するとのことなので、念のため通電して見ました。
猛烈なハムです、B電圧を測定してすぐ電源断にしました。

190Vでした、修理後測定したら230Vでした。
原因は平滑用ケミコンのリーク電流と6AR5のグリッドリークの劣化でした。
ケミコンをすべて交換し、結合コンデンサーも交換したら、結果的に40Vも電圧が上昇しました。


真空管

各社の真空管が使われていますが、このラジオの発売当時mT管を作っていたのはマツダ NEC TENです。
どうもオリジナルの真空管はNECの確率が非常に高いです。
そういう目で見ると日電の真空管だけ作りが古そうな感じです。
これだけが生き残ってきたようです。

その他の真空管は見慣れた時代のものです。



ダイアルの糸かけが切れていましたので、やり直しました。
狭いところに組み込むためかスピーカーの一部に切欠があります。
ダイアルの糸が平行になるようにプーリーの位置を決めましたが、
後日キャビネットに入れてみて、うまく動かず、プーリーの位置を再調整する羽目になりました。



修理後のシャーシ内部です。




画像 左端の部分はキャビネットに収納時邪魔になりました、一部配置換えと再配線して修正しました。
画像はここを参照ください。



部品の交換だけでなく むき出し(裸)配線の修正

配線に絶縁材料が使われていなくて むき出し状態(下図参照)のところがあり、
振動で故障の原因にもなりかねないので上記画像のように絶縁チューブをかぶせます。



最後に調整し、IFTやバリコンのトリマを赤ペンキで固定します。
これで完了とばかりキャビネットに入れようとしたのですが、なかなか入りません。

なんとか入ったと思ったのですが、今度は固定ネジの取り付けに苦労しました。
シャーシの後ろ側は簡単なのですが、前側は遠くて ネジがうまく取り付けられないのです。
多分 アメリカ産のラジオの真似でしょうが、向こうは当時から+ネジなので簡単に組み込めるのですが、
日本では当時−ネジしかありません。

無理にはめ込んでネジで固定したのですが、今度はダイアルが固定さされて動きません。



花き画像の窪みがプーリーと一致します。
プーリーの位置を少し後方にずらせて 再度挑戦しました。
小型に製作されているので うかつにダイアルの糸かけをするとこのような現象が起きます。



また整流管付近の配線もこのように修正して組み込みました。
わかってしまえば簡単ですが、まさかここまで厳しいとは思いませんでした。




修理後のPS−51

ダイアルの指針の先端が赤く光り 綺麗です、よく考えられていると思いました。




修理が終わって

最初 受信できるという話しでしたが、悲惨な状態でした。
未整備時 整流管のカソード電圧は190Vでしたが、整備した後は230Vでした、2割も電圧が増加したことになります。
逆に言うと それだけ負荷がかかっていたということです。
整備不良の車で手動ブレーキをかけながら、アクセルを踏み込んだ異常状態と同じです。
整流管や出力管が壊れるか電源トランスや出力トランスが焼けるかのいずれかの故障を引き起こすでしょう。

赤字の電圧は整備後の各部の電圧を示します。

なお日本でmT管ラジオの創世記に作られたもののようで、真空管のソケットも見たこともない構造でした。
一部 接触不良があるので、バネの部分を締めたいと思ったのですが、構造上無理でした。
ソケットまで交換するのは大変なので、そのままとしました。

不審な時は真空管を少しゆすると良いかも。



2017年7月21日








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真空管ラジオ



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