スタンダード SW−370の修理

ナショナルのDシリーズ真空管(ヨーロッパタイプの25mA管)を使ったポータブルラジオです。
中を見たとき、出力トランスが浮いている(シャーシに固定されていない)ので、相当怪しいとは思いましたが・・。
またバーアンテナも隙間に挟んだだけで固定されていません。
真空管は1AB6 1AJ4 1AH5 3Y4です。
なお1AJ4は欠品でした。





スタンダード SW−370の回路図

ラジオに図のような回路図が添付されていました。
残念ながらAC回路の配線図はありません、また電池駆動用の回路は取り外されていました。

どうも修理をしたがうまく行かず放置されていたものを販売したようです。

故障と壊した箇所の修復という2面作戦が必要です。



まずAC回路の修復です。
分解してみるとプラグ部分にセレン整流器とコンデンサーが組み込まれています。

実はこの修理に3日くらいかかりました。
どうなっているかは判明したのですが、正常かどうかが判断できません。
ラジオ本体のと組み合わせ、フィラメント電圧が正常に出ることを慎重に確認しながら確認する必要があります。
電圧が高すぎるとフィラメントを断線させる恐れがあるので、大変です。
25mAシリーズの真空管は入手難で壊すと泣くことになります。

判ったことは3芯コードの真ん中の線は抵抗線(実測3800Ω)であることでした。



最終的に コンデンサーの容量抜けが判明し、交換しましたが、抵抗線は半田付けが難しいです。
どうも綿に抵抗線が巻き付けてある感じでした。
画像のように鳩目で固定して半田付けをしました。




通電テスト以前に

通電テスト以前にペーパーコンデンサーなど不良品になりやすいものを交換します。
0.01μFのマイカコンデンサーと同じ形のものも絶縁抵抗が低下しているので交換しました。








交換した部品



電源が供給できるようになったので、受信テストです。
どうもバリコンの容量に比べアンテナコイルのインダクタンスが低いのです。
断線して解いたのかも知れませんがこれでは同調しませんので、コイルを巻きたしました








今回の修理は延べ3週間もかかりました、実質的に作業したのは1週間程度ですが、この種25mA管の修理は嫌らしいです。
少し手順を間違うとフィラメントを簡単に断線させます。
真空管の確保の心配までしなくてはいけませんので、実験は慎重にならざるを得ません。
率直に言って引き受けるべき修理では有りません。
音量が小さい

音量が大きくなりません、怪しいと思っていた出力トランスのインダクタンスを測ってみました。
無負荷状態で1Hちょっとしかありません。
トランスが浮いているので怪しいとは思っていたのですが、素人が適当に巻いて修復したようです。
ためしに6ZP1用の東栄トランスのものを測定してみると10H以上あります。
巻線比は調べてありませんが、どちらにしても怪しいことに変わりはありません。
出力トランスまで巻き直しに出すとまた費用が高額になるので、諦めました。





2017年5月10日 0008







radiokobo-all



真空管ラジオ



inserted by FC2 system