サンヨー SS-48  真空管ラジオの修理体験記

サンヨー SS-48の修理をしました。
これでおそらくこの機種は3台目です。
この機種には外観が同じで、回路の異なった物があるようです。
雑誌で紹介された回路図と同じなので、どうも初期タイプらしいです。




修理前のシャーシ内部。


ダイアルの糸かけは器用な素人がやったようです。




ダイアルの糸かけ図。


交換した後の様子です。


音質調整用のVRの不良でした。
軸の長さが違うので、延長する必要があります。

音量調整用のVRは何とか使えそうなので、そのままとしました。
このVRのスイッチは「真空管式スーパーラジオ徹底ガイド」84パージにある、
3点接続の特殊なスイッチなのです。
現在このようなVRは入手できませんので、交換はしませんでいた。



軸の先端のみを再利用します。


電源コードの交換。
コード穴が細いのでリーマーで広げます。
鉄板シャーシですから、意外と大変です。


修理後のシャーシ内部。
ACコードは袋うちコードに交換しました。
ケミコンも漏洩電流が多く、これはチューブラタイプに交換です。
15μF ×3個(450V耐圧)


パディングコンデンサーの不思議な動きをするので、
マイカコンデンサーと温度補償型セラミックコンデンサーを組み合わせて作成しました。


修理完了後の写真。





動作試験中です。



2009年1月16日



スーパーの詳細はこちらをご覧ください。





<



サンヨー5球スーパー SS−48の修理体験記 詳細版

サンヨーのSS−48が修理にやってきました。
自分で修理したが、未解決の部分が残るとの事です。
○症状:
・ハム音がある。
・音が割れる(特に「さ・し・す・せ・そ」の音の割れが顕著)
○自分で手入れした箇所:
(*入手時点では部品交換等の修理跡は見られない)
・不良コンデンサーの取り替え
・真空管の交換
・ACコードの取り替え
・外装



外観は素晴らしいです、これは依頼主が手入れをうまくやったせいでしょう、
近くに住んでいれば自分もお願いしたいくらいです。


シャーシを取り出したところ。

不思議なことにB電圧がメーカー製のラジオとしては異常に高いのです。
280Vくらい有ります、ヒーターも7V近いです。
ヒューズの位置を確認しても100Vの位置で正常です。
とりあえず110Vの位置で使用することにしました。
こうするとヒーター電圧は正常に、B電圧も多少低くなりました。

ただラジオ貼付の回路図には電圧が記入されていませんでしたが、
無線と実験 28年4月号の回路図では270Vとなっています、
上記280Vも異常ではなさそうです。
そうだとすると、ヒーター電圧の高さの説明は?。


修理前のシャーシ内部。
42の第1グリットに数V直流電圧が出ていました。
結合コンデンサーのリークです。
このリークはテスターの抵抗計で測定しても無理です。
テスターを100V以上のレンジにして、電圧を測定、
針が少しでも動いたら不合格とお考えください。
理由はテスターの内部抵抗です。
厳密に測ろうとして、測定レンジを低くしたら駄目です。
内部抵抗に電流が流れて、実際の電圧が測定できません。

ここは電圧が何Vあるかが問題ではなく、少しでもあれば駄目なのです。





たいしたところでは有りませんが、音質調整用のVRの配線が間違っていました。
本来はVRの中点に接続すべきです。80BK



修理完了したシャーシ内部。
ペーパーコンデンサーは2個を除いて交換しました。
42のプレート回路と6D6のカソード回路のコンデンサーは交換しませんでした。
ケミコンも最初はオリジナルのままとしましたが、やはりハムが多少多いようです。


なおヒーター配線のエンパイアチューブが割れているところがあります。
本当は交換したほうが安心です。



再度修正することにしました。
315V 22μFを80HKのカソードにいれ、
元この位置にあった10μFは抵抗の先の20μFと合体させました。

従来は 10 20 でしたが、今回は 22 30になります。
入り側を大きくするとハムはさらに減りますが、整流管のことを考え、この程度としました。
真空管ラジオは箪笥の上などにおいて受信することを前提に設計されています。
ラジオはブーンと言うのが当たり前の時代ですから、
最近の電池動作ラジオに比べはハムは元々大きいです。

さらに小さくしたい場合はもう1段前に簡単なフイルター回路をつけると良いでしょう。





さらにハムを提言させたい場合、
80Hkと最初の10μFの間(現在は22μFに変更済)に、
200Ω程度の抵抗を入れ、もう1段平滑回路を追加すると良い。
この場合のコンデンサーは10〜20μF程度。


修理完了時のシャーシ上部。
ダンボールはトランスの上のヒューズホルダーを保護するためです。
真空管は試験用の代用真空管が挿入されています。


本来の真空管に交換、IFTの調整をしました。
全数 富士山型のピークがありますので、見かけは悪いですが、IFTは大丈夫のようです。
ただコイル(アンテナ 発振)ともコア無しですから、トラッキング調整が難しかったです。
目盛りも完全には合っていません、感度が出来るだけ良いように調整しておきました。

スピーカーも交換したかったのですが、取り付け穴が3つ穴の特殊なスピーカーのため、交換できませんでした。
実際使ってみると大丈夫のようです。
音が悪いのは出力管のバイアス異常とスピーカーの複合原因によるもののようです。
もう1台予備機をお持ちのようですから、ご不満なら自分で交換してみてください。



2005年1月7日 20:38:22

2006年6月25日



inserted by FC2 system