SONY テープレコーダー 101の修理体験記(三木市の一ノ瀬さん)

ソニーTC-101型テープレコーダー修理完了報告


ラジオ工房掲示板の縁でソニーTC-101を修復した一ノ瀬さんの復元記録です。
無理にお願いして ここに掲載させていただきました、有難うございました。
                                   ラジオ工房 管理人 内尾

組み立て作業が大変だったフライホイール 交換した不良部品 部品取りされた101

7月にソニーテープレコーダー101の回路図を送っていただいたので修理に取り掛かりました。
依頼主は先ずメーカー修理を依頼されたようで、ソニーサービスから「パーツが無いので修理不能」の伝票が添付されていました。
ただ、岡山のソニーサービスの対応は丁寧で、門前払いの形で断ったのではなく現物を点検して「こことここが悪いが部品を取り替えないと修理できない。
ただ、部品がないのでどうしようもないです」という報告の伝票で、近頃のメーカーサービスには珍しい感じの良いものでした。
 現物を見て息をのみました(ちょっとオーバーですが)。ふたを開けると、
パネルの4割近く塗装が浮き上がり錆だらけ、ピンチローラーの留めネジは強く締めすぎたのか頭の部分が無くなってピンチローラーが何時抜け落ちてもおかしくない状態。
パネルをはずして内部を見ると、4個あるアイドラーがすべて硬化してひび割れ状態で特にモータープーリーに直接当たる分は白っぽく焼けた感じ。
速度切り替えレバーのシャフトが錆だらけ、という一目見てすごい状態であるのが判りました。
電源を入れると、確かに動くことは動きました。回転雑音がすごいです。
点検のためケースから出しました。ケースの底に水をこぼした跡のように埃が張り付いていました。
どうやらパネルに何かがこぼれ(かなりの量)気づかれずに放置されたために錆がひどくなったのではと思われました。
真空管周辺は年月をあまり感じない状態で電圧正常、6AR5のグリッドに触れると歪みを感じないブーという音が出ました。
”やはり故障は半導体回路だ”と基板をはずしてみたところ、こちらは惨憺たる状態で電解コンはすべてパンクし、
埃がからみつき抵抗のカラーコードも読みとれない有様でした。
信号増幅系統は後回しにすることにして走行系統をチェックしました。
モーター単独で回転させてもあり得ないほどの大きな音がします。
油切れは間違いないので注油にかかりました。
注油口が見えないので軸受け部へ直接たっぷり注油しました。
このときに気が付いたのですが、10分足らずの通電でモータープーリーが手で触れないほど熱くなっていました。
油切れで金属同志が擦れ合い表面に傷が付き悪循環で加速度的に傷んだと思えます。
アイドラーが焼けている原因も判明しました。
注油により音は少し小さくなり、発熱もずいぶん少なくなりました。ただ、
この状態では保油能力が落ちていると思われるので使用者に十分注意を払ってもらう必要が有りそうです。
取り敢えず以前に廃棄したソニーのテレコから取り外しておいたアイドラー2個が何とか使えそうなので取り替えました。
巻き戻し用の2個のアイドラーは手持ちがないためそのままにしました。 
土日の余った時間を利用してのことで作業はなかなか捗りません。
このテープレコーダーについて何も聴いてはいないのですが、平井さんのなんとか直したいというこの機械への思い入れを感じましたし、これだけ傷んで
いるのを生き返らせるのも面白いと考えて腰を据えてやってみることにしました。
回路図を送っていただいてからは、回路図を見て、トランジスター以外の電解コンデンサー・抵抗等の不良になったパーツを取り替え、
色々とやってみたのですが小さな音でしか鳴らずうまくいきませんでした。
トランジスター周りの電圧測定も大丈夫のような感じだったのであとはTrの不良かなと思ったのですが、
交換テストするにもゲルマのNPNなんてものは手持ちが無く行き詰まってしまいました。
(再生だけなら新しく基板を作った方が早いのだけど、まともなやり方ではないと考えてやめました) 
そうこうしているうちに猛暑となり根を詰めて作業するのが苦痛になったため依頼主にも了解を取って中断しました。
Trの不良が一番確率が高そうで 2SD64はソニー製品によく使われていたので、ジャンクを探してトランジスターを確保することにしました。
夏バテ状態でぼんやりとヤフーオークションを見ていたとき、故障ソニー101テープレコーダー\500-というのが目に入りました。平井さんの思いが通じたような出品です。
さすがに、はっきり故障と記載されているので(こちらには好都合)手を挙げる人もなくめでたく落札できました。
型番は同じですがこちらのほうが少し後で製造されたようで、電源コードは差込式に、トランジスタも2SDに名称変更、
電解コンも小型化、インジケーターのネオンがラジケーターにとかなり改良されてました。
このテレコの点検をしたところOPTの断線だけであり合わせのを付けるとまともに動作しTrが使用可能な事も確認出来ました。
基板の状態も非常によいのでトラの交換より基板の交換の方がずっといい(既に元の基板はいじくりまわして、見た目も悪
くなっている)ことが判りました。
基板も少し変更があったのですが、回路図のおかげで安心して取り替えに臨めました。
 気になっていたモーターの比較をしたところ単独で回転させたときの音の出方が段違いに静かです。
安全面からも取り替えることにしたのですが、モーターも改良されていて結線状態が全く違い頭を悩ませました。
元のモーターは3組のコイルがあるのか、モーターから6本の線が出ています。新しい?方は3本だけです。
コンデンサー無しなので隈取モーターと思われます。
使用周波数の切り替え時に巻線数を変えて(トルクの調整?)いるようで実際のスピード調整はキャプスタンスリーブの変更で行っています。
(たまたま落札したほうが50サイクル仕様だったので判明)モーターは取り替えたのですが、そのようなわけで中継ラグあたりの配線がすっかり変わってしまいました。
巻き戻し用アイドラーもずっと状態の良いのが付いていたので交換できました。
ピンチローラーの軸に埋まったビスは、金切り鋸の刃を折り、尖った部分でビスの折れた部分に根気よくスジを入れ、溝らしきものを彫り精密ドライバーで取り外しが出来ました。
その後1ヶ月余り(土日だけですが)ランニングテストをしました。
新しいアイドラーがあれば・・とつくづく思いました。トルクも回転時の音も新しければ難なく片づくのにと。
最後に大手術をしました。
パネルにこぼれた液体が内部に垂れ落ちたとき、フライホイールにもかかったようで幅5ミリ程が錆びて膨れ上がっていたのです。
錆を落とし、砥石を使って出来るだけ滑らかにしたのですがアイドラーがそこに当たるたびコトンコトンと音がします。
これだけは余りやりたくなかったのですが(再組立が非常に手間がかかり難しい)、ここまでやったのだからついでにやってしまえと決行しました。
手で触ってかすかに判るぐらいの膨らみなのに取り替えるとコトンコトンが消えました。
弾力のある新しいアイドラであればこのように大きな音にはならなかったのではと思っています。
ケースもベニヤ板を曲げ加工して作られているのですが、かなり傷んでいましたので内部から簡単に補強材を当てておきました。 
これで完了です。
いいタイミングで中古パーツに巡り会えた幸運も有りましたが、自作基板に取り替えなくて良かったと思っています 
中古パーツの利用で取り敢えずここまで復旧できたので私自身は大満足というところです。
本当に久しぶりに半田鏝もさわりメカニズムもさわって楽しい思いをいたしました。
この機械が自分のものだったら多分修理せずに廃棄していたと思うと何か不思議な気もします。




以上長々と記しましたが修理顛末の報告です。
回路図をいただいていなければ、多分 楽な方に走ってテープレコーダーをテーププレーヤーに変身させていたと思います。
本当に心強かったです、有り難うございました。

動作中のTC−101 平井さんよりの写真。
初めて見る方もおられるのではと写真の撮影をお願いしました。
ご協力感謝します。

  

  2007年12月5日写真追加




ラジオ工房修理メモ

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